
要件定義をおこなうときはまず業務フローを書きなさいと教わったのですが…



はい、私もまず業務フローを書くことから始めます。業務フローなしで要求定義はできないとすら思っています。今回は業務フローとは何かから丁寧に解説していきますね。
業務フローとは何なのか
業務フローとは、組織内で行われる一連の作業や活動を順序立てて図式化したものです。簡単に言えば、「仕事の流れ」を視覚的に表現したものです。例えば、商品の注文から配送までの流れを考えてみましょう。
- 顧客が注文を出す
- 注文を受け付ける
- 在庫を確認する
- 商品を梱包する
- 配送業者に渡す
- 顧客に商品が届く
このような一連の作業を図や矢印を使って表現したものが業務フローです。これにより、誰が何をするのか、どの順番で作業が進むのかが一目でわかるようになります。業務フローは組織の効率性を高め、問題解決を支援する重要なツールなのです。





まず簡単に業務フローの見方を解説しますね
- 「●」は一連のフローのスタートを表します。
- それぞれ「顧客」「販売業者」「配送業者」と記載されている列は、その名称の人もしくは物がどう動くかを記載する列です。
- 角が少し丸くなっている四角は何かが起こしたアクションを示します。
- 四角で表されているものはオブジェクトといい、処理で生成されるファイルなどを表します。
- 「◎(実際は中が黒丸)」はフローが終了したことを表しています。
- 実線の矢印はアクションの流れ、点線の矢印はオブジェクト(もの)が流れる方向を示しています。
- 縦長のフローは時系列順に上から下に流れ、横長のフローは時系列順に左から右に流れていきます。#Fりあgん3いちご
これ以外にも何かを判断してアクションを変えるなどの要素もあります。



これらを参考にしながら、上の業務フローから何が読み取れるのかを説明します。
- 登場人物は3人(団体)
- 列が3列あるので少なくとも同じ立場の人たちが3組いることがわかります。販売業者はもっと細かく分ければ在庫担当者、発送担当者などに細かくすることができます。少しでも違う動きをする場合は列は分けなければなりません。
例えば、販売業者の中で在庫確認はするが商品梱包はしないという動きをする人がいるのであれば、それぞれ別の列で表現する必要があります。
- 列が3列あるので少なくとも同じ立場の人たちが3組いることがわかります。販売業者はもっと細かく分ければ在庫担当者、発送担当者などに細かくすることができます。少しでも違う動きをする場合は列は分けなければなりません。
- 顧客が行うのは「注文」のみ
- 顧客の列で角丸の四角は「注文」しかありません。したがってここでは顧客が行うのは注文だけということがわかりますし、それが正しくなければ必要なアクションを追加する必要があります。
- 顧客が注文を行うと何らかの形で販売業者にその情報がいく
- 上で説明したオブジェクト(もの)が顧客の列から販売業者に移動したことがわかります。ここではそこまでしか分かりませんが、システムから注文が行われたか、電話で注文したか何らかの方法で注文情報が販売業者に渡ったことがわかります。
- 販売業者は「在庫確認」「商品梱包」「商品引渡し(配送業者へ)」を行なっている
- こちらも販売業者の列で角丸の四角を探すとこの3つのアクションが行われていることがわかります。
同時に商品を販売業者へ渡していることも読み取れると思います。
- こちらも販売業者の列で角丸の四角を探すとこの3つのアクションが行われていることがわかります。
- 配送業者は「配達」「商品引渡し(顧客へ)」を行う
- こちらも同様に配送業者の列の角丸の四角は「配達」「商品引渡し(顧客へ)」なので、それらを行なっていることがわかります。
これは簡単な業務フローなのでその程度しか分かりませんが、それでもそれぞれの立場の人が何をしているのか、何をするのかが視覚的にも正確に把握することができ、誤りがあればすぐに指摘することができます。
これらの理由から、筆者は要件定義を行う際は必ず業務フローを書くことから始めています。 新規の開発にしろ、改修案件にしろ業務フローなしでは何をどうするべきかが見えてこないからです。 複雑な業務もフローをかけば視覚的にすぐわかります。 クライアントにも文章であれこれ言う必要もなく「これを見てください」で認識合わせをすることができるのです。
業務フローはそんなに重要なのか
業務フローがどういうものなのかは分かりましたが、そんなに手間暇かけて業務フローを作成することに意義があるのでしょうか。
業務フローを作成するのは以下のような意義があるからです。
- 現状の業務の全体像を把握できる
- 特に業務フローによって「処理内容と具体的な作業」「判断を必要とする分岐点」「入出力されるデータの流れ」が明確化され次の効果が期待されます。
- システム化が必要な範囲を明確に特定できる
- 業務上の問題点や改善が必要な箇所を発見しやすくなる
- 新しいチームメンバーへの業務説明ツールとしても活用できる
- 特に業務フローによって「処理内容と具体的な作業」「判断を必要とする分岐点」「入出力されるデータの流れ」が明確化され次の効果が期待されます。
- 関係者間での認識齟齬を防ぐことができる
- 業務フローは優秀なコミュニケーションツールとしても機能します。
- 認識齟齬を防ぐためには、以下のような段階的なアプローチが効果的です
- まず業務の大きな流れを把握することから始める
- その後、徐々に詳細な情報を追加
- 定期的に関係者の確認を得ながら進める
- 業務の問題点や改善ポイントを見つけやすくなる
- なぜ業務の問題点や改善ポイントを見つけやすくなるのかはこのような理由からです。
- 可視化することによって問題が発見しやすくなる。例えば、不要な作業、効率の悪い手順、ボトルネックになっている工程などがパッと分かりやすくなります。
- データの流れが見えるので、重複したデータ入力、データの受け渡しにおける非効率、不足しているデータがわかるようになります。
- なぜ業務の問題点や改善ポイントを見つけやすくなるのかはこのような理由からです。
- システム化の範囲を明確にできる
- 業務フローがあれば、ここからここまでをシステム化しようという意思決定もしやすくなります。
技術的な知識がなくても理解しやすくクライアントにも参加してもらいやすくなり、合意形成も図りやすくなります。
- 業務フローがあれば、ここからここまでをシステム化しようという意思決定もしやすくなります。



ざっと業務フローについて解説しましたが、次回は業務フローの作成ステップについて解説します!
本記事では、システム開発における要件定義フェーズでの業務フローの重要性について解説しました。業務フローは業務の流れを視覚的に表現したもので、以下の重要な利点があります。
- 業務の全体像を把握し、システム化が必要な範囲を明確に特定できる
- 関係者間での認識齟齬を防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現する
- 業務の問題点や改善ポイントを効率的に発見できる
- 新メンバーへの業務説明ツールとしても活用可能
効果的な業務フロー作成のためには、まず大きな流れを把握し、段階的に詳細情報を追加していく方法が推奨されます。また、定期的な関係者との確認を行うことで、より正確で有用な業務フローを作成することができます。