
システム開発ではまず要件定義からと言われるのですが具体的に何をする工程なのかよく分からなくて…



そうですね。要件定義や要求定義などいろいろな工程もあるし、機能要件と非機能要件との違いなどもあってわかりにくいですね
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要件定義の基本概念
要件定義とは、システムに求められる機能や性能、制約条件などを明確にする作業です。簡単に言えば「お客様が望むシステムの姿を具体的に描き出す」ということです。
この作業では、お客様へのヒアリングを通じて、業務上の課題や目標を理解し、それらを実現するためのシステム要件として具体化していきます。また、システムの利用者、運用者、開発者など、様々な立場の人々の視点を考慮しながら、バランスの取れた要件を定義することが重要です。
なぜ要件定義が重要なのか
- 開発の方向性を決める重要な指針となる。
- これは、プロジェクト全体の設計・実装の基礎となるものです。例えば、ECサイトの開発では「商品の在庫管理機能が必要」という要件が定義されることで、在庫管理システムの連携方法、在庫数の更新タイミング、在庫切れ時の表示方法、在庫アラートの設定など、具体的な設計・実装の方向性が明確になります。さらに、この要件に基づいて、データベース設計やAPI連携の方針も決定されていきます。
- 後工程での手戻りを防ぐことができる。
- 要件定義の段階で要件を明確にしておくことで、設計や開発の段階での認識の違いや仕様の変更を最小限に抑えることができます。例えば、ログイン機能の要件を「メールアドレスとパスワードでログインする」と定義した場合、後になって「SNSアカウントでのログインも必要」という要件が追加されると、データベース設計やユーザー認証の実装を大幅に変更する必要が生じます。このような手戻りを防ぐためにも、要件定義の段階で必要な機能を漏れなく定義することが重要です。
- プロジェクトの成功率を高める
- 適切な要件定義を行うことで、開発チームとステークホルダーの間で目標や期待値が明確になり、プロジェクトが成功する可能性が大きく向上します。
例えば、要件定義の段階で「システムの応答時間は3秒以内」という具体的な性能要件を定義することで、開発チームは適切なアーキテクチャを選択し、必要なリソースを確保することができます。
- 適切な要件定義を行うことで、開発チームとステークホルダーの間で目標や期待値が明確になり、プロジェクトが成功する可能性が大きく向上します。
- コストと時間の無駄を削減できる。
- 適切な要件定義を行うことで、開発途中での大幅な仕様変更や機能の追加を防ぐことができ、それによって余分な開発コストや時間の浪費を抑えることができます。
例えば、要件定義の段階で「モバイル対応が必要」という要件を明確にしておかないと、開発後期になって対応が必要になった場合、設計からやり直しとなり、多大なコストと時間がかかってしまいます。
- 適切な要件定義を行うことで、開発途中での大幅な仕様変更や機能の追加を防ぐことができ、それによって余分な開発コストや時間の浪費を抑えることができます。
要件定義で明確にすべきこと
機能要件
システムが「何をするか」を定義します。
- 実現すべき機能の一覧
- データの入出力
- 処理の流れ
- 画面や帳票の仕様
非機能要件
システムが「どのように動くべきか」を定義します。
- 性能要件(レスポンス時間、処理速度など)
- セキュリティ要件
- 信頼性要件
- 運用・保守要件



機能要件と非機能要件については別の記事で詳しく解説します
まとめ
要件定義は、システム開発の成否を左右する重要な工程です。初心者の方は、まずは基本的な考え方と進め方を理解し、実際のプロジェクトで経験を積んでいくことが大切です。
要件定義のスキルは、エンジニアとしてのキャリアを通じて常に磨いていく必要があります。