
また仕様の説明でズレが出ちゃいました…。こっちは何度も説明してるつもりなんですけど…。



あー、それ、わかります!開発の現場じゃ“伝わらない問題”って避けて通れない問題なんですよね。オフショアだけに限らず日本人同士でも同じことは起こるんです。



やっぱり…。どうしたらうまく伝えられるんでしょうか?



では、“あるあるの原因”と“実践的な対策”を一緒に整理してみましょうか。
はじめに
システム開発では、エンジニアが仕様や設計、技術的制約を関係者に説明する場面が頻繁にあります。しかし、**「何度説明しても伝わらない」**という問題は、どの現場にも存在します。
これは決して説明不足ではなく、「相手との視点や前提知識の違い」が主な原因です。
この記事では、エンジニアが説明しても相手に伝わらない“あるある”ケースと、それに対する実践的な対処法を紹介します。
よくある「伝わらない」シーン
「なるほど」と言われたのに、まったく違う理解をされていた
これは特に多いケースです。説明のあとに「分かりました!」と返されても、いざできあがったものを見てみると全然意図と違う…。
原因
- 相手が理解した“つもり”になっている
- 技術的な前提が共有されていない
- 同じ専門用語でも、設計方針や文脈によって解釈がズレている
例
「この処理はリトライします」→リトライのトリガーや上限が定義されていない
- エンジニアA「失敗時は自動リトライします」
- エンジニアB「了解!(HTTP 5xxとかネットワークエラー時に1回くらいでリトライかな)」ラップしてawaitすればOKね)」
実際には
Aは「5回まで指数バックオフでリトライ、特定の業務エラーコードも含む」
→ Bは「無限リトライ?業務エラーはリトライ対象外でしょ?」と想定していた
ズレの本質
リトライ対象の例外種別や回数、バックオフ戦略などが暗黙だった。
システム開発での説明ミスを防ぐ!エンジニアが押さえておきたい5つの対策法
対策1:理解を「言語化」してもらう
一方的な説明で完了せず、「相手に説明内容を自分の言葉で要約してもらう」ことで、認識のズレをチェックできます。
実践ポイント:
- 「じゃあ、念のためどういう理解か教えてもらえますか?」と聞く
- チャットや議事録に要約を書いてもらう
- ホワイトボードや図に起こして一緒に確認する
対策2:図・フローで視覚的に説明する
言葉だけでは抽象的になりがちです。図解・ワイヤーフレーム・処理フローなどを使って「見える化」することで、理解度が大きく上がります。
活用例:
- Draw.ioやMiroでフロー図を作成
- システム構成図、画面遷移図を見せながら説明
- Excelやスプレッドシートでデータ構造を視覚化
対策3:段階的に説明する(抽象→具体)
いきなり技術的な詳細を話すのではなく、**「全体像→背景→詳細」**の順で説明することが重要です。
具体的な構成例:
- 目的(なぜ必要か)
まず最初に、「なぜこの仕様や仕組みが必要なのか」という背景・意図を共有します。
✕「これを実装してください」
○「この画面で●●のエラーが頻発していて、ユーザーからの離脱が多い。だから入力チェックを厳しくしたいんです」
目的がわかると、判断基準や代替案の検討もスムーズになります。 - 全体の流れ(どういう仕組みか)
次に、「全体の流れや構造」をざっくり共有します。詳細の前に“地図”を渡すイメージです。
例:「今回の処理は、フロント→API→バッチ→DBの4ステップです」
フロー図・時系列・処理ステップ一覧を活用
これで相手は「自分が担当する範囲」や「前後の接続部分」が明確になります。 - 技術的な仕様(どう実装するか)
ここで初めて実装に関わる具体的な技術仕様を説明します。
・どのAPIを使うか(エンドポイント、メソッド)
・データの構造や型
・想定される異常系・エラーパターン
ここでは「一つの機能や関数レベル」に落とし込むことがポイントです。 - 例やパターン(どう動作するか)
最後に「具体的な入力例・期待される動作パターン」を出します。
・入力例:このフォームに「abc@example.com」と入力 → 成功
・異常系:未入力ならエラーメッセージ「メールアドレスは必須です」
・成功系:APIが200でレスポンスにユーザーIDが返る
例を出すことで、「それなら理解できた」→「そう動くなら納得」という流れが作れます。
対策4:理解の“グラデーション”を意識する
相手が「完全に理解する」のを求めすぎないこともポイントです。「まずは50%の理解でOK」→「運用しながら理解を深める」というアプローチも有効です。
補助策
- 最小限で始めてみて、途中でフィードバックを受け取る
- ドキュメント化して、後で読み返せるようにする
- プロトタイプや簡易デモを用意する
対策5:他の第三者に説明してもらう
自分の言葉では伝わらないときは、別の立場の人(PM、UX、QA)を交えて説明してもらうのも有効です。
- PMがビジネス側の言葉で補足する
- UX担当がユーザー視点で説明を補完
- QAが仕様とテスト観点でまとめる
「伝わらない前提」でコミュニケーション設計をしよう
エンジニアがどれだけ丁寧に説明しても、相手に100%同じように理解してもらうのは難しいものです。
だからこそ、「伝わらないこと」を前提に、以下のような対策を取り入れてみましょう。
✅ 相手に説明内容を言語化してもらう
✅ 図やフローで視覚化する
✅ 抽象→具体の順に段階的に説明
✅ すぐに理解されなくても焦らず進める
✅ 必要に応じて第三者を巻き込む
「伝えるスキル」もエンジニアにとって重要な武器です。
日々のコミュニケーションを工夫して、よりスムーズな開発現場をつくっていきましょう!