『あのとき知っていれば…』先輩PMが語る新人時代の後悔とアドバイス

プロジェクトマネージャーって、やっぱり難しいですよね。何から始めればいいのか、正直わからなくて…。

その気持ち、よくわかります。私も新人の頃、同じように悩みました。今日は、私が新人時代に経験した失敗と、そこから学んだことをお話ししますね。

Contents

はじめに

プロジェクトマネージャー(PM)としてのキャリアをスタートさせたばかりの頃、多くの人が戸惑いや不安を感じるものです。筆者自身も、数々の失敗を経験し、そのたびに学びを得てきました。今回は、筆者が新人PM時代に経験した後悔と、そこから得た教訓を共有します。

1. 「鵜呑みにしない」スタンスの重要性

新人時代、上司やクライアントの「こういう機能が欲しい」という指示を鵜呑みにしてしまい、現場の実態を確認せずに要件定義を進めてしまったことがあります。たとえば、ある社内プロジェクトで「業務の自動化ツールを作ってほしい」と依頼され、そのままスクリプトベースのツールを開発しました。しかし実際には、現場ではその業務がほぼ発生しておらず、結果としてツールは一度も使われませんでした。

この経験を通じて、上からの要望をそのまま受け取るのではなく、現場に足を運び、実際の運用状況や課題をヒアリングする重要性を痛感しました。

加えて、問題の本質を見極めるための「5回のなぜ」を実践するようになりました。たとえば、先述の自動化ツールのケースでは、「なぜツールが必要なのか?」→「なぜその業務を自動化したいのか?」→「なぜその業務が負担になっているのか?」→「なぜその業務が現場で今も行われているのか?」→「なぜそれを改善する他の手段ではだめなのか?」と深掘りしていくことで、表面的な要望の裏にある本当の課題が見えてきます。以後は、どんな小さな案件でも自ら一次情報を集めるとともに、必ず数回の「なぜ」を問いかける習慣を持つようにしています。

業務自動化に対する課題を「5回のなぜ」で掘り下げた、階層型フローチャート
課題の根本原因を探る「5回のなぜ」手法の実例。
表面的な要望の背後にある構造的問題を可視化。

2. プロジェクト計画の立案と共有

プロジェクト計画を立てずに進めた結果、進捗が遅れ、チーム内で混乱が生じたことがあります。
特に、各自が自分の判断で作業を進めた結果、優先順位のズレやタスクの重複が頻発しました。たとえば、筆者が関わった新規ウェブサービスの開発では、設計フェーズのタスク分担を曖昧にしてしまい、UIチームとバックエンドチームの間でAPI設計に関する齟齬が生じ、大幅な手戻りが発生しました。

この経験から、どれだけシンプルなプロジェクトであっても、WBS(Work Breakdown Structure)を用いてタスクを分解し、スケジュールと担当者を明確にすることの重要性を痛感しました。また、ガントチャートを用いた可視化や、定例ミーティングでの進捗確認により、チーム内の認識を揃える工夫も取り入れるようになりました。計画書を作成し、チーム全体で共有することで、目標やスケジュールの明確化が図れ、プロジェクトの成功率が格段に高まります。

3. コミュニケーションの重要性

チームメンバーとのコミュニケーション不足により、誤解やミスが生じた経験があります。たとえば、進捗確認を怠ったことで、あるメンバーが設計フェーズで重要な仕様変更を把握しておらず、開発フェーズで大きな手戻りが発生したことがありました。
また、個々のメンバーが不安や疑問を抱えたまま業務を進めていたため、プロジェクト全体の士気も低下していました。

このような状況を改善するために、定期的なチームミーティングの他に、メンバーとの1on1ミーティングを週1回設けるようにしました。1on1では業務の進捗だけでなく、本人の悩みやキャリアへの不安なども丁寧に聞くよう心がけた結果、メンバーの主体性やエンゲージメントが大きく向上しました。
さらに、Slack上に業務に関する一言報告やちょっとした雑談、気づきなどを自由に投稿できる仕組みを整えました。これにより、リモート環境でも「顔を合わせたような」一体感が生まれ、自然と情報共有が活性化され、チーム内の信頼感も深まりました。

4. 失敗から学ぶ姿勢

失敗を恐れず、それを糧にして次に進む姿勢こそ、PMとして成長するための土台です。筆者自身、タスクの見積もりを大幅に誤って炎上寸前に陥ったり、ステークホルダーとの合意形成を怠って仕様変更が混乱を招いたりと、数多くの失敗を経験してきました。そうした経験を一つずつ振り返り、「どこで判断を誤ったのか」「次はどう対応すべきか」をノートに書き出すようにしています。

また、社内の他のPMと失敗事例を共有することで、自分だけでは見えなかった視点や改善のヒントを得られることも多くあります。成功体験だけではなく、失敗をあえて開示する文化を築くことも、組織全体の成長につながると感じています。

失敗から振り返り、改善、共有、再実行へと進む循環型フローチャート
失敗を糧に次へつなげる実践サイクル
まとめ

新人PMとしての道のりは決して平坦ではありませんが、失敗を経験し、そこから学ぶことで、確実に成長していきます。今回の筆者の経験が、これからPMを目指す方々の参考になれば幸いです。

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